No.3 一橋大学陸上部からオリンピック選手を


 会員の皆さん、いつも大変お世話になっています。
 会長になって3回目の投稿です。
 トラック・フィールドのシーズンも終わり、代わってロードのシーズンが始まりました。春から秋にかけて練習を重ねた長距離陣は他のパートの選手が冬季練習に苦しむ様子を横目で見ながら、俺たちの出番とばかり毎日黙々と走っています。
 12月から1月にかけて我が校は3回の駅伝に出場し、その他にもハーフマラソンとかフルマラソンに出場する選手もいるようで、走力別にグランドを周回する長距離パートも人数が増え、層が厚くなったという感じがします。
 さて、現役部員の活躍は倶楽部のホームページで閲覧できますので、詳しい情報はそちらに譲るとして、今回は少し楽しい話題にしたいと思います。

 今年のリオ五輪大会は我が校のボート部OBからオリンピック選手が誕生し、私も体育会関係のOBとして大会後の報告会に出席して中野紘志選手と話をする機会がありました。
 ボート競技ですから大型の筋骨隆々の選手とのイメージを描いていましたが、意外に普通の体格の青年だったような印象を受けました。 
 ボート競技のように、競技人口の少ない分野では、ボート部がない高校が大部分で、多くの大学では入学時には未経験者が多く、競技者の多くは入学後から横一線で運動能力を競えることから、時には一橋のような小規模な大学そしてクラブからでもオリンピック選手が出やすいのだと思います。
 その一方で、陸上競技のように競技人口の裾野が広く、中学・高校には陸上部が必ずといっていいほど存在し、中・高時代からかなりのレベルの好記録を出している競技分野では、大学入学時点での背景事情が全く異なります。
 そのような状況では、例えば、インターハイで好記録を出した選手、つまり早くから素質を開花させたアスリートは、ぼもれなく関東、関西の陸上強豪校から勧誘を受けて進学し、進学後はさらに恵まれた環境で技量に磨きをかけ、その一方で陸上に関して盛んでもない学校に進学する優秀なアスリートはごくまれです。
 高校まで未経験者で、大学入学後から陸上競技を始めて数年で日本のトップレベルまで登りつめるのは陸上競技ではなかなか困難なことです。
 我が校もその例に漏れず、高校時代にインターハイで活躍したアスリートが入学してくることはほとんど期待できない状態ですし、たとえ、優秀な選手に目をつけて入学を勧誘したとしても、入学できる保証も全くありません。
 ただ、私たちの時代、陸上部の新入部員に関しては高校時代に陸上を経験した学生は珍しく、未経験者の比率が圧倒的に高かったのですが、最近の傾向として高校時代に陸上を経験した新入部員の比率が高まっているようで、まれにインターハイ経験者も入部しています。
 また、タータントラックが完成した後は、ホームページやオープンキャンパス等でグランドの評判を見聞きして、その美しいグランドにあこがれる高校生アスリートもいるようです。
 さらに、高校時代は物心両面で練習環境には決して恵まれないアスリートであっても、大学入学後に自身の創意工夫によって、いくらでも自己の技術を高めることは可能で、我が校の学生はそれだけの能力・スピリットを持っていると思います。
 あのリオ五輪の山縣選手も特別のコーチを持たず、自分のアイデアにより日々の練習のメニューを組んでいたと聞いています。
 最近、入学のハードルが高い大学を見渡しても、時折、インカレ等で高いレベルの記録で活躍する選手を見かけることもあり、我が校も決して例外ではありません。
 我がクラブも将来、潜在的に高レベルの素質を持ったアスリートが入学し、タータントラックの恵まれた環境で、創意工夫しながら技量を向上させ、オリンピックレベルの記録をだすこと、そして最終的にはオリンピック選手になることの可能性も以前よりは増しているような気がします。
 ボート部出身のオリンピック選手の挨拶を聞きながら、そのようなことを夢見ていました。

2016年12月1日      一橋陸上競技倶楽部 会長 浜田 愃