No.16 今後の課題について


 10月18日(土)、恒例の箱根駅伝予選会が立川市の昭和記念公園で開催された。学生からの報告にもある通り、今年は48校中第43位、10人の合計タイムは11時間47分16秒と平成18年に出されたこれまでの学内記録11時間49分55秒を2分以上上回る学内新記録であった。ただ、私が目標に掲げた東大との格差40分を半分の20分に縮めることはかなわず、依然として40分の格差のままであった。聞くところによると東大の新入部員は55名もいたそうで、この格差を縮めるのは容易なことではなさそうだ。しかし、東大生に出来ることが一橋大生に出来ないことはないはずで、現役諸君のさらなる向上を期待している。シーズンもほぼ終了したのでこの1年を振り返って私なりの感想を述べたい。

 まずはグランドの全天候型化の改修工事が無事終了したことである。5月26日には山内進学長はじめ多くの関係者にお集まりいただき新グランドお披露目のテープカット式を行った。凡そ90年ぶりの大改修が、多くのOB会員の賛同・協力により行われ無事完成した。立派なグランドが完成したことに対し大学側が大変喜んでおられたことを、会員の皆様にご報告したい。足かけ5年にわたって推進してきた実務担当者の並々ならぬご尽力に感謝申し上げるとともに、ご寄付を頂いた多くの会員諸氏に対し改めて厚く御礼申し上げたい。

 新装なった国立グランドで2度の公式戦が行われた。7月3日の三大学(旧三商大)戦、9月27日の名大戦の2試合である。両試合とも好天に恵まれ素晴らしいグランドでの開催となった。自前のグランドを持つ一橋大学に対し、他校メンバーがしきりとうらやむ中での戦いであった。残念ながら三大学戦は3位に終わったが、名大戦は昨年に続き優勝し、結果は1勝1敗の成績であった。

 国立グランドでの開催は、三大学戦は昭和50年以来39年振り、名大戦は平成元年以来25年振りであった。久し振りの自校グランドでの開催については、学生たちに当初戸惑いも見られたが、案ずるより産むがやすし、始まってみれば結構楽しそうに運営に当たっていた。大きなイベントを無事こなした学生たちにとって、おそらく生涯残る生きた勉強になったのではないかと思う。

 理事会メンバーで今後の課題を議論しているが、共通しているのは、「現役強化が次の課題」ということである。いくつかのポイントがあるが、コーチ制度の見直し、部員数のさらなる増加、キャプテン交代時期の見直し、夏合宿の開催場所見直しなどが喫緊の課題ではないかと思う。

 コーチ陣の見直しについて、当面の策は手を打った。現状の若手OB=サラリーマン現役に任せるのは時間的に難しい。平日休むわけにはいかないし休日も家族サービスがある。そこで、第一に新たに強化担当理事を置くこと、第二に外部の専門コーチを招聘することを決め、早速実施に移している。昭和45年卒の現役弁護士浜田愃理事に強化担当をお願いしたところ、多忙の中、ほぼ毎週のようにグランドに出かけて頂いている。外部コーチとして、国立グランドになじみの深い、また京セラ駅伝部を育てたことでも有名なベテランコーチの浜田安則氏を、一橋大学陸上競技部のヘッドコーチに迎えた。浜田氏は週3日のペースで指導に当たられている。熱心な指導ぶりにはOB倶楽部としても頭の下がる思いである。

 次に部員数。学生総数は50年前の2倍になっているが部員数はあまり変わっていない。女子部員やマネージャーを考えると男子部員数はむしろ減少しているようにも思われる。東大の新人が50名を超える中、それに匹敵する陣容をそろえないと簡単には勝てない。そこで男子部員(除くマネージャー)を各年15名以上確保することを要請中である。新しいグランドを前面に出した勧誘活動、HPの活用、必ずしも経験者でなくとも体格の大きな人、足の速い人、さらには後輩への声掛けなど、素人メンバーでも構わないので、とにかく数を確保するよう、学生に要請中である。

 キャプテン交代時期は2000年ころから就職活動のため3年生秋から2年生秋に変更されたようである。2年生時にキャプテン交代を行っている運動部は、一橋大学運動部37部のうちわずか5部というのが現状である。早目の交代にも良い面はあろうが、われわれの感覚からすると「2年生キャプテンには無理がある」というのが正直なところ。就職活動のやり方が大きく変化してきており、それに慣れてしまった学生の意識を変えるのは容易ではないが、他部の例も参考に、見直しを要請しているところである。

 最近の夏合宿は菅平で行われている。8月10日前後に行うのが一般的である。気候その他環境は大変素晴らしく、夏合宿には最適の場所と思われるが、実は多くの学生が同様な意識の下、この時期に集中している。その結果、悪く言えば、グランドは「芋の子を洗うがごとし」であり、思い切ったトレーニングができない。また、投擲練習場が不十分なのも問題である。出来れば合宿場所の変更が出来ないか、OBも相談に乗りながら見直しを行っているところである。

 こうした取り組みから新たに感じたことは、学生とOB倶楽部の距離が遠いということである。我々は近いと思っていても学生はそう感じていない。こうしたすれ違いを正すために、今後は、年に2回程度、新旧交代時と中間時点で、学生3役との意見交換の場を設けてはどうかと考えている次第である。

私が会長になってから早や6年。多様化した時代に合った強化策を考え実施していきたいと考えている。多くのOBの方から積極的なご意見を頂戴できれば幸いである。


2014年10月27日        一橋陸上競技倶楽部 会長 青木俊樹