「箱根駅伝2016」 ・・・岩瀬 浩一(1966年入学)


岩瀬さん 今年の箱根駅伝の見所は、圧倒的な戦力を誇る青学に対して東洋と駒沢がどこまで肉迫できるかに尽き、この3校とそれ以外のチームには明らかに力の差が有るように思われた。

結果は青学が1区久保田でトップを奪うと2区から独走し、唯一本調子ではないのではと懸念された5区山登りの神野が、昨年の記録を3分下回ったものの安全運転に徹する余裕を見せて往路優勝。復路も各区で力の差を見せつけ、着実に差を広げて39年ぶりとなる完全優勝を成し遂げた。

東洋は2区で服部兄が1区の53秒差を22秒縮めたものの、逆転を狙った3区服部弟がこの区間で逆に1分35秒差を拡げられて万事休す。駒沢も1区其田が区間13位と出遅れたため、2区工藤、3区中谷のダブルエースで首位に立つという目論見が、前半突っ込んでは後半反って差を拡げられるというお定まりの展開で脆くもついえ、青学に一矢を報いることすら叶わぬこととなった。

さらに東洋が2区から2位、駒沢が5区から3位を確保した挙句に各々が単独走となって順位に変動が無く、盛り上がりに欠けるレースとなってしまった。むろん復路に入ってからのシード権争いはつ混沌として、これに絡む大学の関係者やファンはハラハラドキドキで盛り上がりの連続であったろう。

しかし一般の視聴者は、繰上げスタートのチームも入り乱れて、恐らく状況がよくは分からなかったのではないか。毎度の事ではあるが、首位争いやシード権争いを始め、何でもドラマ仕立てにしたいアナウンサーが絶叫すればするほど、何やら白けた思いを抱いたのは筆者だけではあるまい。

ところで今大会でも活躍した大学トップランナーの服部勇馬(東洋大4年)と一色恭志(青学大3年)が2月に行なわれる東京マラソンに挑戦するという。両選手には、実力を遺憾なく発揮して、例年この時期になると盛んに取り沙汰される「箱根駅伝有害論」を吹き飛ばすような快走を見せてほしいものである。


(1月9日受信)