「全国高校駅伝 2015」 ・・・岩瀬 浩一(1966年入学)


岩瀬さん
今年の全国高校駅伝は、世羅(広島)が22年ぶりとなるアベック優勝を遂げたのみならず、男子は最多の9度目の優勝かつ「神の領域」といわれた仙台育英(2004年)の大会記録をも更新した。

男子は昨年2位に2分近くの差をつけて優勝したチームのうち主力5人が残って、当初から連覇は約束されていたも同然。 チームの目標は2時間1分32秒の大会新記録の達成のみならず、2時間0分台さらには夢の2時間切りまで視野に入れていたようだ。

結果としては1区中島が1位の佐久長聖から8秒差の3位で繋いだ時点で勝負あり。2区井上でトップに立つと予定どおりの一人旅となった。 残念ながら4区吉田が本調子でなく、6区植村、7区新迫は記録を狙う余り突っ込みすぎて終盤の伸びを欠き、大会記録更新が14秒にとどまったのは、贅沢な話だが、やや勿体なかったと言えなくも無い。

勝敗は別にして今年はトラックで好記録が続出、「花の1区」の区間賞争いに注目が集まった。 最後抜け出した關(佐久長聖)は長身でスプリントもあり、マラソンの日本記録保持者高岡寿成を髣髴とさせる。 一年生時破格の記録で衝撃を与えた羽生(八千代松蔭)は、故障でこの2年間鳴りを潜めていたが、レースを終始引っ張りながら2位を確保して完全復活をアピールした。 3位の中島(世羅)、4位の鬼塚(大牟田)は勿論のこと、今年はそれ以外にも有望なランナーが目白押しであり、この世代で将来の長距離界を高いレベルで牽引してほしいものだ。

女子は優勝候補筆頭で連覇を目指した薫英女学院(大阪)が、エース格の嵯峨山を故障で欠いて3位に、昨年3位の常盤(群馬)もエース岡本が故障上がりで伸びきれず2位にとどまった。 一方ダークホースの世羅は1区小吉川、5区向井の大駒2枚を擁し、弱いと見られた3区長尾が区間2位と想定外の好走を見せて射程圏内でアンカー向井に繋いだことが優勝の決め手となった。

最終区で逆転して一躍ヒロインとなった向井だが、日本人離れしたまるでケニヤ人ランナーを見るような伸びやかな走法は見事と言う他ない。 このまま順調に伸びて行けば、日本女子長距離界にとって待望の希望の星になるのではないか。今後の大いなる成長に期待したい。

ところで世羅の岩本監督は男子チームを率いて13年。 この間全国優勝5回。2007年大会直前にエース鎧坂の疲労骨折が判明して10位に沈んだ以外は毎年失敗無く、本大会に合せてきっちり仕上げてくる手腕は見事と言えよう。 女子の監督も2010年から引受けているが、入賞すら一度もなかったチームを今回優勝に導いたことで、名将としての評価を確固たるものにしたのは間違いあるまい。

最後に、世羅高出身の三好優汰君 優勝おめでとう!

(12月26日受信)