「審判資格を取得してみませんか」・・・中村 龍太郎(1975年入学)


中村さん  私は、卒業7年目の昭和60年に、陸上競技に恩返しをしようと思い、出身高校の所在地である藤沢市陸上競技協会を通じて神奈川県陸上競技協会の審判講習会を受講し、日本陸上競技連盟の審判資格を取得しました。以来、今日まで藤沢市陸上競技協会や神奈川県陸上競技協会主管で開催される陸上競技の大会や記録会、駅伝、マラソン大会等の審判をしてきました。
 陸上の審判資格は試験があるわけではなく、審判講習を受け、その後に一定回数の審判実習を行うことで、誰でも取得することができます。審判講習は、毎年トラックシーズン開始前の2月〜3月に実施されます。審判資格を取得後は、毎年3月に審判講習会があり、国際陸上競技連盟競技規則や日本陸上競技連盟競技規則の改正が解説・説明されます。 中村さん
 審判資格を取得後に、地元(現住所地、勤務地、出身学校地などが選択可能です)の陸上競技協会に登録し、登録陸上競技協会もしくはその上部協会等からの審判委嘱があってはじめて審判を行うことができます。
 私の場合は、藤沢市陸上競技協会、神奈川県陸上競技協会からの審判委嘱が中心ですが、時には近隣の鎌倉市や茅ヶ崎市の陸上競技協会や湘南地区の中学校体育連盟・高等学校体育連盟から委嘱が来ることもあります。
 現状の審判員の出自をみると、学校の先生(体育教師、陸上部顧問)・かつて陸上競技選手であった人・陸上経験は無いがお子さんが陸上部員(だった)という人が多いようです。
 審判としての役割は、各種あり、まさに企業組織と大差ありません。試合の大小により多少違いがありますが、通常は以下のような審判役割があります。 中村さん
 総務、総務員、技術総務、審判長、アナウンサー、記録・情報処理員、表彰係、場内指令、医務、競技者係、庶務係、公式計測員、用器具係、役員係、ウォームアップ場係、風力計測員、決勝審判員、計時員、写真判定員、監察員、ビデオ観察員、スターター・リコーラー、出発係、周回記録員、跳躍審判員、投擲審判員等です。名称から、その職務内容はなんとなくわかるかと思いますが、詳細な職務内容はルールブックに明確に規定され、審判ハンドブックに、より詳細で解りやすく解説されています。
 私は、藤沢市の大会では、記録・情報処理員を担当することが多く、神奈川県の大会では、風力計測員を担当することが多いです。また、神奈川で行う全国レベルの大会では、ウォームアップ場係を担当することが多くなっています。その他では、計時員、周回記録員、投擲審判員、庶務係、役員係などを経験しています。
 審判をするたびに、審判手帳に競技会名・担当審判・年月日が競技役員により記載され、主管陸上競技協会の証印が押印されます。この記載記録が増えていくのも、審判をしている楽しみの一つになっています。 中村さん
 かつて、北京オリンピックの最終予選となった日本選手権が等々力陸上競技場で開催されましたが、その際はウォームアップ場係(練習場係)でした。各選手のウォーミングアップ方法や所属団体の力関係などを間近にみることができました。北京オリンピック後の9月に等々力陸上競技場で開催されたスーパー陸上(現在はゴールデングランプリ)では庶務係を担当し、一般入場者への会場案内に携わる一方、朝原選手に花束を渡したいというファンに対応したりしました。
 また、横浜国際女子マラソン(かつては横浜国際女子駅伝)や湘南国際マラソン、湘南藤沢シティーマラソンの走路観察員をしたりもしています。正月の風物詩、箱根駅伝の審判も依頼されているのですが、こちらは、妻の実家への帰省を優先しているため、未だ実現していません。
 ルールブックや審判ハンドブックには、審判委嘱があったら必ず出席すると謳っています。審判長や主任を務める人はほとんど皆勤のようですが、私のような勤め人は皆勤という訳にもいかず、年に2〜3回しか出席しなかった年もあれば、年間20回超出席した年もあります。審判委嘱があれば、できるだけ出席するようにはしているのですが、現状は仕事優先、家庭優先とならざるを得ません。最近は年間10〜15回程度の出席が定着しています。 中村さん
 陸上競技の審判は、ボランティアですので、原則報酬はなく、交通費実費と昼のお弁当が支給されます。
 小中高生のひたむきな走・跳・投や大学・実業団選手の躍動を見ていると、仕事を離れての気分転換ができ鋭気を養うことができます。もちろん、自分の持ち場を離れるわけにいきませんので、自由に選手の活躍を見るわけには行かないのですが…。
 学校を卒業して陸上競技との縁がなくなってしまったという方。審判資格を取得して、競技役員をされては如何でしょうか。

写真@審判手帳
写真A委嘱状
写真B手帳に記載された審判記録
写真C審判ハンドブック/ルールブック
写真D審判手帳に記載されている公認審判員としての心得/手帳の取り扱いについて

(2013年8月10日受信)