ばて松

告発のゆくえ・・・・多田 裕彦(1981年入学)


 事務局の『世界中で、日本各地で活躍している会員からの素晴らしいメッセージ』と いうくだりからは程遠い拙劣で不相応な内容になりますが、 投稿の少ない1980年前後入学会員の一人として、差し当たり、 同期の会員たちの近況をありのままに報告するとともに、 その実態を告発させて頂こうかと思います。

 我々1981年入学のメンバーでは、7年ほど前より、 髭氏 毎年、定例の同期会を行い、旧交を温めつつ、変わらぬ絆を確認し合う機会を作っています。 毎回、遠方のメンバーも駆けつけ、ほぼ全員で学生時代さながらの愉快な時間を 過ごすのが恒例となりました。一堂に会するという意味では概ね20年ぶりだったこともあり、 開催当初は、多少の余所余所しさもありましたが、みんなが昔の関係に戻るのに長い時間を要することもなく、 回を重ねるごとに陸上部時代のコンパと何ら変わらぬ、単なる困った呑み会に昇華していきました。

 通常、我々、知命世代の同期会等では、それぞれの成長に向けた異業種情報の交換会のような機会となる訳ですが、 進歩がないと言うべきなのか、慣習に惑わされないと言えるのか、そういう貪婪な話題は手短に済ませ、 純粋にみんなで愉快に過ごすことのみを追求する機会になっています。そんな訳で毎度、羽目を外し過ぎ、 悩ましい珍事の勃発は避けられません。

 一昨年(2010年)は、酩酊し暴走する輩(毎年、ほぼ同人物ですが)を中核として、 一部の弾けた学生くらいしかやらないような悪ふざけが繰り広げられました。誰からともなく、 暴君さながらの同氏の顔に悪戯書きをしたい、いや、しなければいけないという社会的使命にも似た衝動に駆られ、 髭氏 気が付くと、乱痴気騒ぎで浮かれ上がっている同氏のご尊顔には油性のマジックペンで、 軽い尊敬と深い制裁の、いや逆か?深い尊敬と軽い制裁の念が込められた猫髭が描かれていました。 描かれた本人はまったく気付く筈もなく、その常軌を逸したマヌケ面は芸術的でもあり、 何も知らない同氏(以下、髭氏)だけは何故か得意気でした。猫の首に鈴をつけた鼠の如し、 ある種の達成感に酔い痴れた面々と悪い酒に酔い痴れた髭氏は、その後も、 そのマジックペン顔のまま、店を変え、尚一層、盛り上がりました。騒ぎに騒ぎ、 丑三つ時に差し掛かった頃、ようやく会はお開きとなりましたが、不運にも、否、 光栄にも、私は、有頂天でクダをまき続ける髭氏をタクシーで送って帰る大役を仰せつかりました。 帰りのタクシーの中でも、最初は愛想よくドアを開け我々を迎え入れた運転手も、 ルームミラー越しに髭氏の怪しいマジックペン顔を一瞥した瞬間、乗車拒否を試みようとしたり (まぁ、当たり前か?)、髭氏が途中でマヌケ面のままラーメン屋に寄って帰ると言い出したり、 到底、分別ある常識人の沙汰とは思えぬ奇行が多数繰り広げられた同期会と相成りました。

 実は、「〜同期会と相成りました。」と過去形で書いてはみましたが、残念ながら 話はこれだけでは終わる筈もなく、懲りもせず、翌年(2011年)の同期会でも前年と ほぼ同じ珍事が、当然の如く展開され、またしても、善良な市民たちは、件の氏の制圧と 髭氏 警戒を掻い潜りながら、その厚顔にこっそり、独裁者然とした髭を描く偉業を成し遂げていました。 奇しくもガタフィ大佐失脚の2ヵ月後の出来事でした。怒れる市民の職人的連携プレーの 絶妙さに感心する中、唐突に、戒厳が宣告され、髭氏の小難しい仕事の講話が始まりました。 有益かつ貴重な戯言を聞けましたが、得意気に力説しているその顔にはしっかり髭が 描かれていますから…残念!滑稽過ぎて講話に集中できません。 また、帰り際、周りの制止をよそに、持ってきた筈の鞄が見当たらないと、 髭氏がいかにも重鎮面で店に苦情を言い出し、程なく、家に置き忘れてきたことを思い出して 事なきを得ましたが、仕事とは言え、マヌケ面の頓珍漢なクレームを真摯に聞いている フリをしなければいけなかった店員の心境を察すると、気の毒やら荒唐やらで、 いい加減にこの辺で勘弁して下さい。あまりの珍客の奇行に魂を抜かれたような店員の顔が未だに忘れられません。 (でも、一般人に迷惑をかけるのはよくないぞ!髭夫君。3年前には実際に財布落としてたし…結局、 みんなで探し出し、キミに返したら、落としたことすら気づかぬほど泥酔してた キミは「なんでオレの財布を持ってんだ!」って名言吐いたっけ。) そしてまた今回も、 酩酊しタイラントぶりを遺憾なく発揮する髭氏をタクシーで丁重に護送申し上げた私でしたが、 車中では、そんな私に向かっていきなり「お前は誰だ?」「此処は何処だ?」と真顔で聞きました。 髭氏 私の返事を確認すると、大きく首肯いて「しかし、今日はアレだったなぁ」としみじみ語っていました。 (で、アレって何ですか?確かに全体的にナンでしたけど…)

 後日談ですが、髭氏の理解あるご家族も、毎年の恒例化した醜態 〈世帯主のマヌケ面での深夜の泥酔帰宅〉を、あまりの唐変木ぶりに感心してか、 呆れを超えた期待に近い感情を持って諦観されているそうですので、 次回(今年)もデジャブか?と人知れず心を痛めているところです。 まぁ、常日頃、日本の発展の為に業界の第一線で指揮をとるキャプテンズ・オブ・インダストリーたちの 休息の一夜ということにしておきましょう。(その一夜が一番疲れますが…)

 そんな奇特で可笑しな連中ですが、我々も子供が大学に進むような年齢になってしまいました。 こういう突拍子もない人たちですから子供の行く末も心配されそうなところですが、驚くなかれ、 子供たちには、本学や東大を始め高名な学校に入学させているようです。世間ではよく、 悪い意味で「親の顔が見てみたい」なんてことを言いますが、 逆に、彼らの「子供の顔が見てみたい」気持ちやら、 職場や家庭で演じている常識人としての仮面も透かし見てみたい気持ちで一杯になります。 (念の為ですが、みんな普段は普通なんですよね?)

 さて、HPの貴重なこのコーナーをお借りして、躊躇しつつも意を決し、 同期会の枚挙に遑がない醜態のいくつかを赤裸々に告発させて頂きましたが、 卒業後、暫くの間、疎遠になっていた同期のメンバーが数年前にネットを 駆使してほぼ全員で再会を果たし、それ以降、毎年、髭氏のリーダーシップと迷走の下、 みんなで一緒に楽しく盛り上がる機会を持てることは、私にとり、とても幸せなことであり、 愛すべき困った同期の仲間たちには深く感謝しています。この繋がりは、 今後の私の人生においても大切にしていきたい財産だと思っております。

 また、末筆となってしまいましが、全ての会員の方々のご健勝と ご活躍を心より祈念致しております。

注)登場する人物は実在する人物であり、一切の脚色はありません。 投稿内容全般について、髭氏本人の了承を得ております。 ただ、二度にわたり誰がどのように髭を描いたのか?は、未だ不明です。 また、髭氏に限らず御託を並べる連中だらけのことも、これまた困った事実です。

(3月21日受信)